2005年 11月 02日
「アート@つちざわ」 |
昨日、今月6日まで行われている岩手県東和町でのアート展「アート@つちざわ」に行って来ました。今日はそのようすを私門脇がレポートいたします。
東和町土澤地区は、宮沢賢治が生まれ育ったことで人気のある岩手県花巻市から東へ数キロほど入った山間の町で、柳田國男の「遠野物語」などで知られる遠野への路線上に位置しています。地域の有名人としては洋画家・萬鉄五郎を輩出し、町の小高い丘陵地の上には1984年に開館された萬鉄五郎記念美術館が立っています。
私が到着したのは午後1時頃。平日のため、閑散としているだろうと思っていたのですが、きれいに並ぶ商店街には万国旗がはためき、おそらくは周辺地域の方たちと思われる年配の集団が、アート・マップ片手に思い思いの感想などを述べながら商店街を渡り歩いていく姿がひっきりなしに見受けられました。
まずは抜け落ちた歯のように点在する商店街の臨時駐車スペースに車をとめ、インフォメーションをさがすと、白く立派な蔵のような建物がそれで、ここでマップやチラシなどをゲット。さっそくマップ片手にアート散策をはじめました。が、そこではじめて知ったのは、展示場所が77箇所、参加作家総勢122名という圧倒的なボリューム。気に入ったものに少し時間をかけすぎたきらいはあるとはいえ、結局、4時までの3時間で私が見て回れたのは全体の3分の2ほどでした。
77箇所というあぜんとするほどの展示箇所については、まわりはじめて気づいたのですが、展示場所相互の距離が思いのほか近く、本当に町全体、商店街全体が密集したひとつの展示スペースになっていることで、ほとんど隣の展示まで歩くことなくまわれる距離感。
これほど密集した場所にこれだけのスペースを確保するのはさぞたいへんだっただろうと思いながら個々の作品を鑑賞して歩いていると、今度はかなりの場所の名前が「旧~」すなわち空き店舗であることにも気づかされました。中には昨日店を閉めたむねシャッターにはり紙がはられている店舗まであり(展示は別の店で行われていました)、商店街の低迷が豊富なアート空間の提供を可能にしていることに複雑な思いがせずにはいられませんでした。
町の方の話やチラシを総合すると、このアート展は3年ほど前から積み上げて来た活動上にあるもので、特に前述の萬鉄五郎記念館が中心となって積み重ねて来た町おこしの企画なのだそうです。「街かど美術館実行委員会」という名称からもわかるように、「まちじゅうを美術館にしよう!」という発想で、「とがびプロジェクト」の「中学校を美術館にしよう!」という発想とパラレルなものです。まさに文字通り、目抜き通りに面した商店街の店舗はほとんどが何らかのかたちでアート展示にスペースを提供し、中にはおそらく普段は生活空間と思われるような店舗の二階を開放したり、離れを開放したりしているところもあって、しかも1か月という会期を通じてスペースを提供しつづけるということは、街全体の強い意志がなくてはとてもできないだろうと思いました。お店の方は慣れたもので、訪れた私に「こことあそこにありますからどうぞゆっくり」とおだやかなもてなし具合。あちらこちらに蛍光色のパーカーを着たスタッフの方もいて、クローズしている展示やわかりにくい場所の案内などを行っていました。
参加作家はいわゆるアマチュアの方から一線で活躍されている方まで同列の表記で、あわただしくまわる方にはすこし不便なマップにも思われましたが、片端から見ていく分にはとても分かりやすく、大きさもちょうどいいマップでした。見た中では、真板雅文さん、倉重光則さん、原田拓さんの作品が私好みのインスタレーションでした。
また、お昼に入った和食店「いけ田」はおしゃれなたたずまいながら板さんがいて、11:30~2:30までやっている日替わりランチの刺身定食750円(コーヒー付)を食べましたが、味・ボリュームとも申し分なく、なんでこんなに安いんだろうと思いました。アート・マップとは別に「こだわりの店編」なるマップをほとんど同じような雰囲気でつくって配っているあたりも、アートとお店とを同列に「見せる」こころみではないかと思いました。
週末などは人出がかなり多いらしいので、きっとかなり雰囲気がちがうと思いますが、私が見て来た「アート@つちざわ」は、アートのしっかりしみこんだおだやかな街といった趣でした。もし来年、戸倉上山田の温泉地にまで「とがびプロジェクト」が拡張されたときには、どんな風になるのだろうと思いながら、夕暮れの街を後にしました。
東和町土澤地区は、宮沢賢治が生まれ育ったことで人気のある岩手県花巻市から東へ数キロほど入った山間の町で、柳田國男の「遠野物語」などで知られる遠野への路線上に位置しています。地域の有名人としては洋画家・萬鉄五郎を輩出し、町の小高い丘陵地の上には1984年に開館された萬鉄五郎記念美術館が立っています。
私が到着したのは午後1時頃。平日のため、閑散としているだろうと思っていたのですが、きれいに並ぶ商店街には万国旗がはためき、おそらくは周辺地域の方たちと思われる年配の集団が、アート・マップ片手に思い思いの感想などを述べながら商店街を渡り歩いていく姿がひっきりなしに見受けられました。
まずは抜け落ちた歯のように点在する商店街の臨時駐車スペースに車をとめ、インフォメーションをさがすと、白く立派な蔵のような建物がそれで、ここでマップやチラシなどをゲット。さっそくマップ片手にアート散策をはじめました。が、そこではじめて知ったのは、展示場所が77箇所、参加作家総勢122名という圧倒的なボリューム。気に入ったものに少し時間をかけすぎたきらいはあるとはいえ、結局、4時までの3時間で私が見て回れたのは全体の3分の2ほどでした。
77箇所というあぜんとするほどの展示箇所については、まわりはじめて気づいたのですが、展示場所相互の距離が思いのほか近く、本当に町全体、商店街全体が密集したひとつの展示スペースになっていることで、ほとんど隣の展示まで歩くことなくまわれる距離感。
これほど密集した場所にこれだけのスペースを確保するのはさぞたいへんだっただろうと思いながら個々の作品を鑑賞して歩いていると、今度はかなりの場所の名前が「旧~」すなわち空き店舗であることにも気づかされました。中には昨日店を閉めたむねシャッターにはり紙がはられている店舗まであり(展示は別の店で行われていました)、商店街の低迷が豊富なアート空間の提供を可能にしていることに複雑な思いがせずにはいられませんでした。
町の方の話やチラシを総合すると、このアート展は3年ほど前から積み上げて来た活動上にあるもので、特に前述の萬鉄五郎記念館が中心となって積み重ねて来た町おこしの企画なのだそうです。「街かど美術館実行委員会」という名称からもわかるように、「まちじゅうを美術館にしよう!」という発想で、「とがびプロジェクト」の「中学校を美術館にしよう!」という発想とパラレルなものです。まさに文字通り、目抜き通りに面した商店街の店舗はほとんどが何らかのかたちでアート展示にスペースを提供し、中にはおそらく普段は生活空間と思われるような店舗の二階を開放したり、離れを開放したりしているところもあって、しかも1か月という会期を通じてスペースを提供しつづけるということは、街全体の強い意志がなくてはとてもできないだろうと思いました。お店の方は慣れたもので、訪れた私に「こことあそこにありますからどうぞゆっくり」とおだやかなもてなし具合。あちらこちらに蛍光色のパーカーを着たスタッフの方もいて、クローズしている展示やわかりにくい場所の案内などを行っていました。
参加作家はいわゆるアマチュアの方から一線で活躍されている方まで同列の表記で、あわただしくまわる方にはすこし不便なマップにも思われましたが、片端から見ていく分にはとても分かりやすく、大きさもちょうどいいマップでした。見た中では、真板雅文さん、倉重光則さん、原田拓さんの作品が私好みのインスタレーションでした。
また、お昼に入った和食店「いけ田」はおしゃれなたたずまいながら板さんがいて、11:30~2:30までやっている日替わりランチの刺身定食750円(コーヒー付)を食べましたが、味・ボリュームとも申し分なく、なんでこんなに安いんだろうと思いました。アート・マップとは別に「こだわりの店編」なるマップをほとんど同じような雰囲気でつくって配っているあたりも、アートとお店とを同列に「見せる」こころみではないかと思いました。
週末などは人出がかなり多いらしいので、きっとかなり雰囲気がちがうと思いますが、私が見て来た「アート@つちざわ」は、アートのしっかりしみこんだおだやかな街といった趣でした。もし来年、戸倉上山田の温泉地にまで「とがびプロジェクト」が拡張されたときには、どんな風になるのだろうと思いながら、夕暮れの街を後にしました。
by togabi
| 2005-11-02 01:11
| とがび周辺情報