2005年 10月 20日
圓井義典「カメラ星人調査隊 第1次現地調査 |
今日は「カメラ星人調査隊」として、「キッズ学芸員」とともにカメラと地図を政策・展示した圓井義典さんの展示を紹介いたします。
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とがびプロジェクト2005
カメラ星人調査隊 第1次現地調査(Telephoto Box Project'05) 概要
●作品名:カメラ星人調査隊 第1次現地調査(Telephoto Box Project'05)
●展示場所:戸倉上山田中学校校内(屋外/屋内共に含む)
●展示日時:2005年10月8、9日
●作品の内容(コンセプト)は以下のとおり
「今回、われわれはある匿名の情報を入手することができた。
長野県の戸倉上山田中学校に、カメラ星人の存在を証明する痕跡がみつかったのだ。
これがその地図だ。
われわれ地球人が、まだほら穴に暮らしていた頃、われわれはカメラ星人からカメラの仕組みを教わった。
そして、科学の発達と共に、われわれは、われわれ独自の写真術を身につけていった。
しかし、われわれは、彼らがなぜわれわれ地球人に、カメラの仕組みを教えてくれたのか、誰も知らない。
数万年後の今日、これほどまでに地球上にカメラが広がると、彼らは知っていたのだろうか。
われわれは、カメラ星人の真の姿を、そして彼らの真の目的を知らなければならない。
さあ、この地図を頼りに、彼らがいたはずの、戸倉上山田中学校へ足を踏み入れようではないか!!」
・ 参加者は、地図を片手に戸倉上山田中学校内のカメラ星人の痕跡を探す。
・ カメラ星人の痕跡とは、小型の手作りカメラのことである。
・ カメラ星人は、戸倉上山田中学校の生徒という仮の姿で、長野県に暮らしている。
・ カメラ星人は、カメラのファインダーに写る美しい世界に感動することで、日々の栄養をとっており、その感動がなくなると、やがてとけて死んでしまう。
・ カメラ星人は、地球人にも感動と言う栄養が必要であることを知っており、そのためにかつて、カメラの仕組みを教えたのである。
Telephoto Box Project第二段にあたる本プロジェクト。戸倉上山田中学校の生徒たちからの招聘を受け、前回のプロジェクトよりもさらに娯楽性を高めるため、「カメラ星人」という架空のキャラクターを取り入れ、利用するカメラも、ピンホールカメラから「カメラ・オブ・スクラ」へと変更しました。
「カメラ・オブ・スクラ」とは、レンズつき暗箱のことで、画像を定着させることを可能にした写真術が発明されるまで、この装置を利用した多くの画家がいたことはよく知られています。
<キャラクター設定>
・カメラ星人…キッズ学芸員の真の姿。ただし、地球人に気づかれないように、普段は地球人を装っている。地球人の感動する心の退化を憂慮し、今回あえて徐々に自らの存在をアピールする作戦を決行した。
・カメラ星人調査隊…観客ひとりひとりが隊員にあたる。キッズ学芸員を中心に結成された調査部隊。カメラ星人であるキッズ学芸員は、地球人を装いながら巧妙に地球人たちを誘導する。
●展示までの流れ
①事前準備
・戸倉上山田中学校内のオススメの景色を複数探す。
・プラスチック製バケツ、老眼鏡用レンズ等を利用して、カメラ・オブ・スクラを複数制作する。
・中学校内のオススメの景色付近に完成したカメラ・オブ・スクラを設置する。
・カメラ・オブ・スクラの設置地点の一覧地図を作成する。
②展覧会当日
・観客に、上記地図を配布し、地図をたよりに構内を散策してもらう。
・カメラ・オブ・スクラにたどり着いた観客は、カメラの内部壁面に投影された像を観賞する。
●カメラ・オブ・スクラの素材:
プラスチック製バケツ、老眼鏡用レンズ、プラスチック板、ネジ、アクリル塗料
↓カメラの内部壁面の投影像(花壇が上下左右さかさまにうつっている)
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●作家略歴
1996年 東京藝術大学美術学部デザイン科卒業
1997年 東京綜合写真専門学校研究科卒業
現在、東京工芸大学写真学科に勤務
●個展
・「失踪」Gallery Floor2, 1996年
・「Sight」かねこ・あーとギャラリー,1998年
・「New Works」ギャラリーQS,1999年
・「New Works」Exhibit LIVE,2002年
・「地図」Exhibit Live,2003年
・「沖縄」exhibit Live & Moris,2005年
●グループ展
・「LENSMEN」目黒区美術館区民ギャラリー,1996年
・「Rejoice」ギャラリー21+葉,1999年
・「写真-四人の場合」かねこ・あーとギャラリー,2000年
・「六人の写真」Exhibit LIVE,2003年
・「戸倉上山田びじゅつ学校」千曲市立戸倉上山田中学校.2004年
・「学校が美術館になった日~とがびプロジェクトのまとめ展~」長野県信濃美術館,2005年 ほか
●講演 ・ワークショップ等
・研究授業「楽しもう!ピンホールカメラの不思議」中野区小学校教育研究会 図画工作科研究部会 研究授業.2004年5月
・ワークショップ「手作りカメラを使って遊ぼう!」第43回東京都図画工作研究大会 城西大会。小学生を対象としたワークショップ.2004年8月
・公開制作「Telephoto Box Project'04」ながのART万博04「戸倉上山田びじゅつ中学校」参加。中学生との共同制作.2004年10月
●その他
・「文藝別冊J-フォトグラファー ~新世代の写真家108人の徹底データファイル」,河出書房新社,2000年
・「DO SO Swirl」 NEUT.003.R-PRINTED(アジール・デザイン+サンニチ印刷).2002年
・「モノクロ写真とつきあう 第1回~第13回」写真工業.写真工業出版社.2002年~2003年
・第13、14、16回 キャノン写真新世紀 入選
【連絡先】
marui@pht.t-kougei.ac.jp
〒164-8678東京都中野区本町2-9-5 東京工芸大学芸術学部写真学科
【担当キッズ学芸員】
竹○里紗 小○利央奈 中○早百里
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圓井義典氏の「カメラ星人調査隊」は、カメラを地球人に伝えた「カメラ星人」という世界設定とカメラの原形であるカメラ・オブ・スクラからなる作品です。
一般には、「カメラ」は「写真」と同義にすら用いられてきた感がありますが、それはもとは絵画の遠近法を把握するための道具として発達したものであり、印画紙に焼き付けるいわゆる「写真」が成立したのは19世紀に入ってからのことです。今日ではデジタル・カメラの普及によって、そのカメラ=写真という図式すら塗りかえられようとしていますが、そこでおもしろいのは、写真世代とデジカメ世代の間でのこの「カメラ・オブ・スクラ」へのおどろきのずれにあるように思えることです。
つまり、写真世代ではカメラ=写真であり、カメラだけがあって写真がないことへの違和感をおぼえるのに対し、デジカメ世代の子どもたちは、カメラ=液晶スクリーンであって、電気も何もないところで鮮明なカラー画像がうつしだされることに、大きく新鮮な驚きを感じていたように見受けられました。(A.K)
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とがびプロジェクト2005
カメラ星人調査隊 第1次現地調査(Telephoto Box Project'05) 概要
●作品名:カメラ星人調査隊 第1次現地調査(Telephoto Box Project'05)
●展示場所:戸倉上山田中学校校内(屋外/屋内共に含む)
●展示日時:2005年10月8、9日
●作品の内容(コンセプト)は以下のとおり
「今回、われわれはある匿名の情報を入手することができた。
長野県の戸倉上山田中学校に、カメラ星人の存在を証明する痕跡がみつかったのだ。
これがその地図だ。
われわれ地球人が、まだほら穴に暮らしていた頃、われわれはカメラ星人からカメラの仕組みを教わった。
そして、科学の発達と共に、われわれは、われわれ独自の写真術を身につけていった。
しかし、われわれは、彼らがなぜわれわれ地球人に、カメラの仕組みを教えてくれたのか、誰も知らない。
数万年後の今日、これほどまでに地球上にカメラが広がると、彼らは知っていたのだろうか。
われわれは、カメラ星人の真の姿を、そして彼らの真の目的を知らなければならない。
さあ、この地図を頼りに、彼らがいたはずの、戸倉上山田中学校へ足を踏み入れようではないか!!」
・ 参加者は、地図を片手に戸倉上山田中学校内のカメラ星人の痕跡を探す。
・ カメラ星人の痕跡とは、小型の手作りカメラのことである。
・ カメラ星人は、戸倉上山田中学校の生徒という仮の姿で、長野県に暮らしている。
・ カメラ星人は、カメラのファインダーに写る美しい世界に感動することで、日々の栄養をとっており、その感動がなくなると、やがてとけて死んでしまう。
・ カメラ星人は、地球人にも感動と言う栄養が必要であることを知っており、そのためにかつて、カメラの仕組みを教えたのである。
Telephoto Box Project第二段にあたる本プロジェクト。戸倉上山田中学校の生徒たちからの招聘を受け、前回のプロジェクトよりもさらに娯楽性を高めるため、「カメラ星人」という架空のキャラクターを取り入れ、利用するカメラも、ピンホールカメラから「カメラ・オブ・スクラ」へと変更しました。
「カメラ・オブ・スクラ」とは、レンズつき暗箱のことで、画像を定着させることを可能にした写真術が発明されるまで、この装置を利用した多くの画家がいたことはよく知られています。
<キャラクター設定>
・カメラ星人…キッズ学芸員の真の姿。ただし、地球人に気づかれないように、普段は地球人を装っている。地球人の感動する心の退化を憂慮し、今回あえて徐々に自らの存在をアピールする作戦を決行した。
・カメラ星人調査隊…観客ひとりひとりが隊員にあたる。キッズ学芸員を中心に結成された調査部隊。カメラ星人であるキッズ学芸員は、地球人を装いながら巧妙に地球人たちを誘導する。
●展示までの流れ
①事前準備
・戸倉上山田中学校内のオススメの景色を複数探す。
・プラスチック製バケツ、老眼鏡用レンズ等を利用して、カメラ・オブ・スクラを複数制作する。
・中学校内のオススメの景色付近に完成したカメラ・オブ・スクラを設置する。
・カメラ・オブ・スクラの設置地点の一覧地図を作成する。
②展覧会当日
・観客に、上記地図を配布し、地図をたよりに構内を散策してもらう。
・カメラ・オブ・スクラにたどり着いた観客は、カメラの内部壁面に投影された像を観賞する。
●カメラ・オブ・スクラの素材:
プラスチック製バケツ、老眼鏡用レンズ、プラスチック板、ネジ、アクリル塗料
↓カメラの内部壁面の投影像(花壇が上下左右さかさまにうつっている)
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●作家略歴
1996年 東京藝術大学美術学部デザイン科卒業
1997年 東京綜合写真専門学校研究科卒業
現在、東京工芸大学写真学科に勤務
●個展
・「失踪」Gallery Floor2, 1996年
・「Sight」かねこ・あーとギャラリー,1998年
・「New Works」ギャラリーQS,1999年
・「New Works」Exhibit LIVE,2002年
・「地図」Exhibit Live,2003年
・「沖縄」exhibit Live & Moris,2005年
●グループ展
・「LENSMEN」目黒区美術館区民ギャラリー,1996年
・「Rejoice」ギャラリー21+葉,1999年
・「写真-四人の場合」かねこ・あーとギャラリー,2000年
・「六人の写真」Exhibit LIVE,2003年
・「戸倉上山田びじゅつ学校」千曲市立戸倉上山田中学校.2004年
・「学校が美術館になった日~とがびプロジェクトのまとめ展~」長野県信濃美術館,2005年 ほか
●講演 ・ワークショップ等
・研究授業「楽しもう!ピンホールカメラの不思議」中野区小学校教育研究会 図画工作科研究部会 研究授業.2004年5月
・ワークショップ「手作りカメラを使って遊ぼう!」第43回東京都図画工作研究大会 城西大会。小学生を対象としたワークショップ.2004年8月
・公開制作「Telephoto Box Project'04」ながのART万博04「戸倉上山田びじゅつ中学校」参加。中学生との共同制作.2004年10月
●その他
・「文藝別冊J-フォトグラファー ~新世代の写真家108人の徹底データファイル」,河出書房新社,2000年
・「DO SO Swirl」 NEUT.003.R-PRINTED(アジール・デザイン+サンニチ印刷).2002年
・「モノクロ写真とつきあう 第1回~第13回」写真工業.写真工業出版社.2002年~2003年
・第13、14、16回 キャノン写真新世紀 入選
【連絡先】
marui@pht.t-kougei.ac.jp
〒164-8678東京都中野区本町2-9-5 東京工芸大学芸術学部写真学科
【担当キッズ学芸員】
竹○里紗 小○利央奈 中○早百里
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圓井義典氏の「カメラ星人調査隊」は、カメラを地球人に伝えた「カメラ星人」という世界設定とカメラの原形であるカメラ・オブ・スクラからなる作品です。
一般には、「カメラ」は「写真」と同義にすら用いられてきた感がありますが、それはもとは絵画の遠近法を把握するための道具として発達したものであり、印画紙に焼き付けるいわゆる「写真」が成立したのは19世紀に入ってからのことです。今日ではデジタル・カメラの普及によって、そのカメラ=写真という図式すら塗りかえられようとしていますが、そこでおもしろいのは、写真世代とデジカメ世代の間でのこの「カメラ・オブ・スクラ」へのおどろきのずれにあるように思えることです。
つまり、写真世代ではカメラ=写真であり、カメラだけがあって写真がないことへの違和感をおぼえるのに対し、デジカメ世代の子どもたちは、カメラ=液晶スクリーンであって、電気も何もないところで鮮明なカラー画像がうつしだされることに、大きく新鮮な驚きを感じていたように見受けられました。(A.K)
by togabi
| 2005-10-20 14:00
| とがびプロジェクト参加作家